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💬 自己紹介

現役で不動産AI査定システムの企画・販売に携わるサラリーマン大家。
自身でも戸建てを賃貸運用中。AI査定の仕組みを開発側と投資家側の両方から見てきた経験をもとに、初心者にもわかりやすく解説します。
🗂 目次
- 不動産AI査定とは何か?
- どんなデータを使うのか?
- AI査定が得意・不得意なパターン
- 使う前に知っておくべき3つの前提
- 実際の使い方|仕入れ・売却・保有の3シーン
- 今後AI査定はどう進化していくのか
- まとめ
- 次回予告|AI査定と相性のいい物件とは?
不動産AI査定とは何か?
不動産AI査定とは、過去の不動産取引や募集情報をもとに、AIが自動で価格や賃料を推定する仕組みのことです。人の主観ではなく、データに基づいて瞬時に査定できるのが特徴です。
従来は営業担当者が「周辺事例を探して、経験で判断する」という手法が主流でした。
しかしAI査定は、数千〜数百万件の事例をもとに統計モデルを構築し、
「どんな条件が価格に影響しているか」を自動で導き出します。
💡 ポイント
- AI査定は「経験や勘」ではなく「統計的根拠」に基づく
- 相場の基準線を出すことで、人の判断を支援するツール

私も最初にAI査定を見たときは、「こんなに簡単に出るの?」と正直驚きました。ただ、人の勘を置き換えるというより、相場の基準線を出すものだと理解してからは、 かなり使いやすくなりましたね。
どんなデータを使うのか?
AI査定が使う主なデータは以下の通りです。
🔸 主なデータ項目
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 立地情報 | 駅距離、住所、周辺環境、用途地域、公示地価など |
| 建物情報 | 築年数、構造(RC・木造など)、階数、間取り、専有面積 |
| 市場データ | 賃料・売買価格、空室期間、成約時期、募集履歴 |
| 地域特性 | 人口動態、世帯数、供給量、需要傾向、地価動向 |
AIはこれらを組み合わせ、「似ている条件の物件はどんな価格だったか」をもとに算出します。機械学習の仕組みを使い、データを追加するほど精度が上がるのが特徴です。

開発側の視点で言うと、AI査定の精度を決めるのは“どんなデータを使っているか”が9割です。「何を根拠に出している査定か」を理解しておくと、使うときの信頼度も変わってきます。
AI査定が得意/不得意なパターン
AI査定は便利なツールですが、万能ではありません。
「データが豊富な領域」では正確に動きますが、「事例が少ない領域」は苦手です。
✅ 得意なパターン
- ワンルーム・ファミリーなど流通量が多い物件
- 都市部の分譲マンション・アパート
- 標準的な間取り・仕様の住宅
- 築浅〜中堅クラス(10〜25年)の物件
⚠️ 不得意なパターン
- 店舗併用住宅・事務所付き住宅など特殊用途
- 築古の地方戸建て
- デザイナーズ物件など“データ化しにくい要素”
- 借地権や事故物件などの特殊形態

私も地方物件の査定を試したことがありますが、AIの得意分野ではありませんでした。ただ、AIの“ブレ方”を見ることで、「このエリアは事例が薄いんだな」と分かるのも一つの発見です。
使う前に知っておくべき3つの前提
AI査定を正しく使うには、次の3つの前提を理解しておきましょう。
① AI査定は“平均値”である
AIが出す数値は、あくまで似た条件の「平均的な価格」です。
角部屋や眺望など、個別事情は反映されません。
「AIの結果=正解」ではなく、“相場の基準線”として活用することが大切です。
② 入力精度が結果を左右する
住所・構造・築年などの入力情報が誤っていれば、結果もブレます。
特に構造(木造・RCなど)を間違えると、査定額が数百万円単位でズレることもあります。
正確な入力が精度の前提です。
③ 目的によって使い方を変える
- 仕入れ時:高いか安いかの基準に
- 売却時:相場との乖離確認に
- 保有時:資産全体の“時価見える化”に

私は査定結果そのものより、「周辺事例とのズレ」を重視しています。“なぜ高い・安いのか”を考えることで、AIの出す数字が“気づき”に変わります。
実際の使い方|仕入れ・売却・保有の3シーン
① 仕入れ判断に使う
物件情報をAI査定に入力すれば、販売価格が相場より高いか安いかをすぐに比較できます。
「割安なら検討、割高なら見送り」という判断がスピーディに可能です。
② 売却タイミングの見極め
保有物件をAI査定にかけることで、市場の上昇・下落トレンドを把握できます。
「去年より上がっている」「周辺事例が減っている」など、“売り時”のサインが見える化されます。
③ ポートフォリオ管理
複数物件を保有している場合、AI査定を活用すれば資産全体の時価を自動算出できます。
含み益・含み損をリアルタイムに把握でき、資産管理や法人決算にも役立ちます。
今後AI査定はどう進化していくのか
① リアルタイム化
ポータルサイトや管理システムと連携し、常に最新データを反映。
「1年前の相場」ではなく、「今の価格」が分かる時代へ。
② 画像・テキスト解析の導入
AIが間取り図や写真から日当たり・内装グレードを自動評価。
コメント文からリフォーム履歴を読み取る技術も進化中です。
③ 投資シミュレーションとの統合
AI査定が「価格算出」から一歩進み、
購入→運用→売却を一気通貫で分析できるプラットフォーム化が進んでいます。

実際、AI査定は“査定”というより“判断支援”の段階に入っています。価格を出すだけでなく、「なぜその価格なのか」「将来どうなるか」を提示できる時代はもうすぐです。
まとめ
AI査定は、経験や勘に頼らず「データで判断できる」時代の新しいスタンダードです。
正しく使えば、相場観のアップデートや仕入れ判断のスピードアップに役立ちます。
ただし、万能ではないことも理解しておく必要があります。

私自身、AI査定を使い始めて感じたのは、“どんな物件を査定するか”によって結果の精度がまったく違うということです。つまり、AI査定の効果を最大限に引き出すには、相性のいい物件ジャンルを選ぶことが大切なんです。
次回予告|AI査定と相性のいい物件とは?
次回は、その「AI査定と相性のいい物件」について解説します。
特に初心者におすすめの、ファミリー向けオーナーチェンジ物件がなぜAI査定と抜群に相性がいいのか。
データの蓄積・精度の高さ・再現性の3つの観点から詳しく紹介します。
👉 [なぜ「ファミリー向けオーナーチェンジ物件」なのか?AI査定と相性がいい3つの理由]
