💬 自己紹介

不動産AI査定システムの企画・販売に携わるサラリーマン大家。自身でも戸建てを運用中。現場でAIと人の査定を日々比較してきた経験をもとに、「数字×現場感覚」を両立する査定活用術をわかりやすく解説します。
Contents
はじめに:AI査定と人の査定、どちらを信じるべき?
AI査定が一般的になりつつある今でも、
「人の査定のほうが正確」「AIは信用できない」という声をよく耳にします。
しかし、実際はどちらか一方が“正しい”わけではありません。
むしろ、両方をうまく使い分けることで、判断の精度は格段に上がります。
AIと人、それぞれの“得意分野”を理解し、目的に応じて使い分ける。
これが、現代の不動産投資における“賢い査定の使い方”です。

私自身、AI査定と人の査定を“対立するもの”ではなく、“補い合うもの”と考えています。
どちらも得意・不得意があり、それを理解して組み合わせるのがコツです。
AIがデータで「全体像」を示し、人が現場で「納得感」を補う──この関係が理想です。
AI査定の強み:データ量とスピード
AI査定の最大の特徴は、膨大なデータをもとに一瞬で結果を出せること。
特に、「相場の把握」「大量物件のスクリーニング」には圧倒的に強いです。
AIは、人が数日かけて分析するデータを、数秒〜数分で集計・解析できます。
また、担当者の主観に左右されないため、再現性の高い評価が可能です。
AI査定の得意領域
- 過去事例の統計分析(賃料・価格の傾向)
- 類似物件の比較
- エリア全体の相場把握
- 担当者の主観に依存しない評価

AI査定は、“人の直感をデータ化したもの”という感覚に近いです。
感覚のズレを補正し、数字で“相場の基準線”を示してくれる。
だからこそ、仕入れの初期判断には最適なんです。
人の査定の強み:現場感と文脈理解
一方、人の査定は、現地の情報や個別要素を加味できることが最大の強みです。
AIが苦手とする「定量化できない魅力」を評価できる点が大きい。
たとえば、同じ築25年の物件でも、管理状態・日当たり・街の印象などによって価値は大きく変わります。
こうした“現場の空気”を読み取れるのが人間の査定です。
人の査定の得意領域
- 日当たり・眺望・街の雰囲気
- 管理状態・修繕履歴
- エリア特有の人気要因
- 再開発・用途変更の見通しなど将来性

同じ築30年のアパートでも、「管理状態が良い」と「ボロボロ」では全く違います。
こうした“肌感”は現場に立たないとわかりません。
AIが見落とす“人の目線”が、投資の安全弁になります。
それぞれの“ズレ方”を理解する
AI査定と人の査定が一致しないのは自然なことです。
むしろ、この“ズレ”こそが、新たな気づきのきっかけになります。
以下の比較表を見ると、両者の特性がはっきり分かります。
| 比較項目 | AI査定 | 人の査定 |
|---|---|---|
| 判断基準 | 統計・データ | 経験・感覚 |
| スピード | 早い(数秒〜数分) | 遅い(数日〜数週間) |
| バラつき | 小さい(再現性あり) | 大きい(担当者次第) |
| 現地情報 | 反映しにくい | 詳細に把握可能 |
| 苦手分野 | 特殊用途・築古 | データ量が必要 |

私はAIと人の査定の差が大きいほど、「現地を見に行く価値がある」と判断しています。
一致しているときは、“相場通り”ということ。
ズレがある時こそ、判断の本質が見える瞬間なんです。
正しい使い分け方:目的に応じて役割を変える
AI査定と人の査定を効果的に使うには、「どの段階で何を求めるか」を意識しましょう。
それぞれの役割を目的別に整理すると、次のようになります。
① 物件仕入れの初期段階
→ AI査定でスクリーニング
大量の物件から「相場より安い候補」を瞬時に抽出できます。
時間のかかる現地調査の前に、“見るべき物件”を絞るためのフィルターとして使うのが効果的です。
💡 目的:スピード重視/数値による一次選定
② 現地確認・価格交渉前
→ 人の査定で裏付けを取る
AIの出した価格を鵜呑みにせず、現地の写真・修繕状態・近隣環境などを確認します。
AIが拾えない“空気感や人気要素”を見極めるタイミングです。
💡 目的:現場感を踏まえた最終判断
③ 稟議・融資・出口戦略
→ AI+人の併用が最強
AI査定で数値的根拠を示し、人の査定で説得力と納得感を補います。
金融機関や上司に説明する際も、「AIデータ+現場レポート」が最も信頼される組み合わせです。

実務では「AIが出した根拠データ」を提示するだけで、社内や銀行の説得がスムーズになります。
感覚よりも、データとロジックで話す時代になりました。
ケーススタディ:AI査定と人の査定を組み合わせた成功例
たとえば、築25年の1棟アパート。
AI査定では「2,300万円」と出ましたが、実際の販売価格は「2,000万円」。
AIの結果だけ見れば「やや割安」で買いの判断です。
しかし、人の査定では「修繕未実施・入居者層が不安定」という指摘があり、
最終的に現地確認のうえ見送りを決定。
その後、他の投資家が購入しましたが、半年後に空室が急増。
結果的に、AIと人の“ズレ”を確認したおかげでリスクを回避できました。

「AIでは買い、人では見送り」──このズレが命を救うこともあるんです。
数字の裏に“現場の現実”がある。
AIと人、両方の視点を持つことが、リスクを抑える投資家の必須スキルです。
まとめ:AIも人も、“敵ではなく味方”
AI査定と人の査定は、どちらが優れているかを競うものではありません。
それぞれの役割を理解し、状況に応じて最適な形で組み合わせることが大切です。
✅ AI査定の役割
- データでスピーディーに“方向性”を出す
- 相場感・比較・根拠提示に最適
✅ 人の査定の役割
- 現地で“納得感”を確認する
- 感覚的な魅力や将来性を見抜く
この2つを掛け合わせることで、
「理論と感覚の両立」が可能になり、
意思決定のブレがなくなるのです。

不動産投資は“人の感覚”の世界でした。
でもこれからは、“データで裏付ける感覚”の時代です。
AIを使いこなす投資家が確実に増えています。
AIと人、どちらも理解して使いこなせる投資家こそ、次世代の勝ち組です。
次の記事予告
次回は、「AI査定の精度を上げるためにできる3つの工夫」を解説します。
実際に査定結果がブレにくくなる入力のコツやデータの見方を、
現場で役立つレベルで紹介します。
