💬 自己紹介

不動産AI査定システムの企画・販売に携わるサラリーマン大家。実務では毎日のように査定データの検証・改善に携わり、開発側と不動産投資家側の双方の視点から、AI査定を“使いこなす技術”を発信しています。
Contents
はじめに:AI査定の“ズレ”は使い方で大きく変わる
不動産AI査定を使っていて、こんな経験はありませんか?
- 「え、なんでこの物件は安く出るの?」
- 「反対に、高すぎじゃない?」
- 「AIって本当に信用できるの?」
実はこの“ズレ”の多くは、AIが間違っているのではなく、入力条件や前提の違いから生じています。
AI査定は、あなたが与えた情報をもとに推論しているだけで、情報が曖昧なら曖昧な結果が返ってきます。
つまり──
AI査定は「正しく使うほど精度が上がり、ズレが小さくなるツール」なのです。

「AIが信用できない」のではなく、「AIを正しく扱えていない」ケースが8割以上です。
少しコツを知るだけで、信頼度が一気に変わります。
コツ①:物件情報は“できるだけ正確に・具体的に”入力する
AI査定の誤差の原因で最も多いのが、入力ミス・曖昧な情報です。
AIはデータを元に計算するため、材料が曖昧だと、当然ながら結果もブレます。
基本情報(住所、構造、築年数、延床面積など)は、以下の情報源を使って正確に入力しましょう。
- 登記簿
- レインズ資料
- 固定資産税課税明細
- 役所の資料
- マイソク(販売図面)
特に誤差が出やすい項目は次の通り👇
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 構造 | 木造・鉄骨・RCで価格が大きく変動。誤入力が最多。 |
| 築年数 | 築20年と25年では賃料下落率に明確な差がある。 |
| 面積 | 登記面積と広告面積が異なるケースが非常に多い。 |
| 所在地 | 同じ駅でも反対側で相場が全く違う。町名レベルで差が出る。 |
特に構造・面積は、誤入力すると10〜20%の誤差も珍しくありません。
査定のブレが大きい人の多くは、物件情報の精度が低いことが原因になっています。

私も最初は「ざっくりでいいだろう」と入力していました。
しかし正確に入力するよう徹底しただけで、結果のブレが半分以下になりました。
AIは“正しい材料”を与えたときに最も力を発揮します。
コツ②:“中央値”で見ると相場感のブレが一気に減る
AI査定のロジックは「似た条件の事例(データ)を大量に参照し、その傾向から推定する」というもの。
そのため、事例を見る際に平均値や一部の極端値だけを見ると誤解が生まれます。
そこで重要なのが、
“中央値(Median)”で判断すること。
例えば、家賃事例が以下のように散らばっているとします。
- 6万円
- 7万円
- 7.3万円
- 9万円
平均値は約7.3万円ですが、中央値は7.15万円ほど。
極端値(9万円など)に引っ張られないため、実際の成約に近づきやすいのです。
AI査定の事例一覧を見る際は、以下の視点を持つと精度が上がります👇
- 中央値に近い事例ほど「相場」に近い
- 散らばりが大きいエリアは「データの質」が低い
- 最高値や最低値は“ノイズ”として扱う
- 複数のエリアをまたぐデータは除外して考える

私は常に中央値で判断しています。
平均値は極端な事例に引っ張られがちで、現実よりズレやすいからです。
中央値を基準にすると、判断のブレが圧倒的に減ります。
コツ③:AI査定結果を“人の感覚で補正”する
AI査定は便利ですが、あくまで「平均値」を示しているため、現地特有の価値は反映されません。
そこで重要なのが、
“なぜこの数字になったのか”を説明できるかどうか。
補正するときの具体的な視点はこちら👇
■ 良いポイント → +3〜10%の上乗せ
- 日当たりが非常に良い
- 眺望が抜けている
- 築年数より明らかに状態が良い
- 人気学区・人気駅近エリア
特に眺望は賃料・売価に直結するため、想定以上にプレミアムがつくケースもあります。
■ マイナスポイント → −5〜15%の減額
- 駅距離が遠い/坂が多い
- 周辺の生活利便性が低い
- 工業地域・準工業地域
- 需要の弱いエリア(人口減少・空室率が高い)
- 築年数の割に状態が悪い
AI査定はエリアの一般的な傾向に基づくため、個別事情の反映が弱いのが特徴。
だからこそ、現地情報と組み合わせることで最強の武器になるのです。

AIが出す“数字”に、現地の“肌感”を掛け合わせる。
この作業を繰り返すほど、プロの投資家に必要な「数字の裏を読む力」が磨かれます。
番外編:AI査定を「検証するクセ」をつけると精度が跳ね上がる
AI査定の信頼度を高める最も有効な方法は、自分の経験と照らし合わせて検証することです。
具体的には、こんな使い方が効果的👇
- 過去に売買した物件でAI査定を出してみる
- 現在賃貸中の家賃とAI査定家賃を比較する
- 他社ツールとAI査定を比較して“傾向”をつかむ
- 想定家賃と成約家賃の差をメモして蓄積する
- データの少ないエリア・属性はどこか把握する
この積み重ねにより、
- 「このタイプの物件はやや高く出やすい」
- 「このエリアはデータ数が少ない」
- 「この築年帯はブレやすい」
など、AI査定のクセが理解できるようになります。

AI査定を“疑う”のではなく“検証する”。
この姿勢を持つ人ほど、AIの使い方が圧倒的に上手くなります。
まとめ:AI査定は「使い方次第で精度が変わる」ツール
AI査定の精度を上げるための3つのコツは、以下の通りです。
✔ 正確に入力する(曖昧さをなくす)
✔ 中央値で判断する(極端値に惑わされない)
✔ 人の感覚で補正する(現場目線を足す)
AI査定は万能ではありませんが、使いこなすほど、数字の解像度が上がり、判断力が磨かれます。
不動産投資の本質は、
「数字を理解し、数字の裏側にあるストーリーを読み取れるかどうか」。
AI査定は、その力を鍛えるための最高の“教材”です。
正しく扱えば、あなたの投資判断は必ず洗練されていきます。
次回予告
次回は、「AI査定を活用した出口戦略(売却判断)の考え方)」を深掘りします。
- どのタイミングで売るべきか
- AI査定をどう見れば“売り時”が見えるのか
- 長期保有か売却かの判断軸
- 実際の売買事例から見る“勝ちパターン”
などをデータと実務経験をもとに解説します。
お楽しみに!
